昨今、日本株の投資はなかなか難しいというのが現状です。
しかし、日本で生活をしていくのであれば日本の企業を応援したい、と言うような考え方をする投資家も少なくありません。
これまではエンジェル投資家と呼ばれる投資家がその役割を担って来ました。
ただし、失敗するリスクもあるため、ある程度裕福な資産がないとなかなか投資が出来ませんでした。
もう少しハードルを低くして安全性も確保して無理のない投資ができたらいいですよね。そのような考えを持つ方も多いのではないでしょうか?
資産形成に興味を持つ人は年々増え、日々新しい投資商品が登場しています。
そんな中で株式投資ではない別の形の投資方法に注目が集まっています。
株でも債権でもない、貸付投資という形態での投資です。
値動きがなく決まった利回りで運用できる投資方法で、日本の事業に投資します。この記事ではその中でも、Funds(ファンズ)というサービスについて紹介していきます。
Funds(ファンズ)は少額投資が可能で、他社のソーシャルレンディングとは異なる特徴を持った貸付投資サービスです。
そんなFundsの特徴、メリット・デメリットから、従来の投資商品との違いについて解説していきます。 ぜひ投資の参考にしてみてください。
貸付投資とは?
日本株への投資は厳しい状況が続いていますね。
日本株で儲けるのが難しい理由としては、上場基準のハードルが低い、指数の伸び悩み、人口動態の将来的な先行き不安などが挙げられます。
優れた企業を見極めるのは難しいですよね。
最近では株式とは違った形態での投資方法が少しずつ市場を広げています。
その中の1つが「貸付投資」です。
貸付投資とは、「企業へ資金を貸し付けるファンド」への投資のことです。
投資するファンドには、予め想定された利回りと運用期間が決まっていることが特徴で、このファンドを通じて資金を借りた企業が運用期間中に返済を行うことで、投資家が利益を得る仕組みです。
社債と同じように予定利回りと運用期間が決まっているため、ある程度見通しを立てた運用が可能になります。
そのためある意味固定利回り投資とも言えます。
一方で社債のような流通は想定されておらず、基本的にファンドに出資したら元本を預け続けることになります。
資金の流動性が低いので余裕資金で運用する必要があります。
そんな貸付投資のサービス、Funds(ファンズ)とは実際どのようなものなのか紹介していきます。
Funds(ファンズ)とは?
Fundsの資産運用のサービス提供は2019年にスタートしましたが、ファンドへの募集実績や案件実績も増加中で現在注目を集めています。
Fundsを運営するファンズ株式会社は、2016年に設立されたクラウドポートという投資情報プラットフォームを運営していた企業で、投資に関しての様々な情報やノウハウを持ち、それを元に新しい事業形態を始めたということで当時業界では話題になりました。
クラウドファンディング のようにスタートアップ企業に投資するのはハイリスクハイリターンですが、Fundsの出資企業には大手の企業が名を連ねています。
Fundsの借り手企業の8割は上場企業で、経営が比較的安定している事業者に貸し付けることになるので、安心度はかなり高いと言っていいでしょう。
Fundsの最大の特徴は、投資案件に対して中立的・客観的な視点で審査を行うということです。
投資の募集のみを行う、ファンドと投資家を結ぶオンラインマーケットという位置づけで、上場企業やその子会社がファンドを組成する仕組みになります。
単に上場企業というだけでなく、上場企業であってもFunds運営元が定めた審査を通過しない限り、Funds上で資金調達を行うことはできません。
また、Funds自体は上場企業と関連する子会社(ファンド)を運用することはなく、あくまでもファンドと投資家を結びつけるプラットフォームとして機能しています。 ですので Fundsを通じて投資を行う投資家は、Fundsが選定したファンドのみに投資することになります。
Funds(ファンズ)を始めるには?
実際にFundsで投資を始めるには口座開設が必要です。
口座開設をする際に手数料などの費用はかかりません。
おおまかな流れは以下になります。
- Fundsのサイトの新規会員登録ページでメールアドレスとパスワードを設定
- 設定したメールアドレスにFundsからメールが届く
- 会員登録完了後、口座開設の手続きへ
このように登録手続きも非常に簡単です。
次に、Fundsを始める前に必要になるものや、サービス開始までの手続きについて紹介します。
1.口座開設について
口座開設には、
- メールアドレス
- 本人確認書類(※必要書類の内容は下記参照)
- 出金時に利用する金融機関口座
本人確認書類として認められるもの
1種類アップロードすれば良いもの
- マイナンバーカード(顔写真付き)
2種類アップロードすれば良いもの
- マイナンバー通知カード(顔写真なし)
- マイナンバーの記載がある住民票の写し(住民票コードのないもの)
もう1種類と認められるもの
- 運転免許証
- パスポート
- 在留カード
- 健康保険証
- 印鑑登録証明書
上記の3つが必要です。
本人確認用の書類は、「マイナンバーカード(顔写真付き)」があれば、1種類で口座開設を行うことができます。
顔写真のついていない、マイナンバーを確認できる書類(マイナンバー通知カード、もしくはマイナンバーの記載がある住民票の写し)の場合、別途顔写真つきの本人確認書類(運転免許証や健康保険証、パスポートなど)が必要となります。
また、法人口座の場合は上記の資料に追加して、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が必要です。
2022年9月からはeKYC(オンライン上で本人確認を完結できる仕組み)に対応しており、スマホがあれば最短1営業日で口座開設が可能です。
2.口座開設の方法
口座開設は、Fundsの会員登録ページから会員登録を行います。
会員登録には、メールアドレスとパスワードの設定が必要です。
メールアドレスの確認が済むと、口座開設の手続きに移ります。
口座開設では、名前や住所、年齢、職業、出金時の振込先口座などの個人情報を入力します。
その後、マイナンバーのアップロードが求められるので、本人確認書類を撮影した画像をアップロードします。
手元に書類がない場合は、一旦スキップして先に進め、後で画像をアップロードすることも可能です。
ここまでの口座開設の手続きは5~10分ほどで完了できます。
提出した資料をもとにファンズ株式会社が審査を行い、問題がなければメールアドレスに通知が届き、登録した住所に本人確認のためのウェルカムレター(簡易書留)が郵送で届きますので届いたら口座開設完了になります。
3.入金方法
口座開設は完了するとサイトからログインして投資を行うことができます。
投資を行うためには、デポジット口座に入金を行う必要があります。
デポジット口座に入金している金額の範囲で投資したい案件に投資金額を決定する形になります。
4. 取引方法
口座開設が完了するとすぐに投資が始められます。
Fundsサイトのファンド一覧から、ファンドの詳細を確認することができ、その中から投資したい案件を探すことができます。
Fundsの場合、出資の申し込みの段階での入金は必須ではなく、出資したいファンドを見つけたら、出資の申し込みを行い、出資することが決まってから、期日までに入金を行う形になります。
出資の募集期間には2種類の方法があり、どちらかだけで募集をかけることもありますし、時期をずらして2つの方法で募集をかけることもあります。
・抽選方式
募集期間のうちに集まった申し込みの中から抽選で出資者を決定する方法です。
当選のお知らせから3営業日目が入金期限日となります。
入金の着金確認は平日15時が目処となっているため、それ以降に入金された場合は翌営業日10時が着金のタイミングになるのでその点は注意しましょう。
出資したファンドが募集終了日を迎えて最低成立金額を超えてお金が集まった場合、ファンドが成立・実行されることになります。
・先着方式
先着順に出資者が確定する方法です。
投資申込み日から3営業日目、もしくはファンドの募集終了予定日のどちらか早い方が入金の期限となります。
投資申し込みが完了している場合は、マイページ上に入金期日が記載されるので確認してください。
実行された後は、投資家のマイページ上で出資金額に合わせて分配金の予定金額の確認が可能です。
分配金額の他、源泉徴収税額なども表示されるので資金計画を立てやすいです。
配当時期になると分配金が振り込まれ、優待がついている場合は受け取ることができます。
次にFundsの詳しい特徴やメリットを見ていきましょう。
Funds(ファンズ)の特徴とメリット4選
Fundsでは、ファンドの営業者(ファンド組成企業)と最終的な借り手(事業者)の関係がグループ企業であるのもメリットの1つです。
Fundsのグループ企業は上場企業で、かつ財務状況などFunds運営元の審査を通過した企業であり、一定の基準を超えた経営基盤を持ちます。
案件ごとのリスクに関しては別途検討が必要となりますが、事業者のリスクを検討する点では信用に値すると言えます。
また、Fundsの投資スキームは、融資先企業で必要な資金を集めるためのファンドを親企業や同じグループの企業が組成し、投資家の募集をFundsに委託しています。
これによって、企業は社債を発行するよりもスピーディーな資金調達を行うことができ、投資家は投資先企業の財務状況や事業者の事業について多くの情報を得ることができます。
借り手企業が提示した事業で利益を出せなくても、借り手企業が返済不能にならない限り、投資家の元本・利回りは確保されます。
提示される事業内容の情報も重要ですが、借り手企業の財務状況なども考慮しながら投資を行う点が、Fundsの大きな特徴といえるでしょう。
2.少額から投資が可能
ソーシャルレンディングサービスは不動産投資の中でも小口からの投資が可能なところが魅力で、最低投資金額はどんどん低くなっており、1口1万円から行える商品も数多くあります。
その中でもFundsは最低投資金額を「1円から可能」とかなり低く設定しているので、資金が少ない個人投資家でも不動産投資がしやすくなっています。
国内の投資型クラウドファンディングサービスで1円から資産運用できるのはFundsだけです。
さらにFundsでは、口座開設や口座管理、口座維持手数料などの手数料の類は一切かかりません。
自分の銀行口座への出金の際なども手数料はかかりません。
唯一Fundsのデポジット口座に入金する時のみ銀行の振込手数料がかかりますが、これは振込手数料がかからないネット銀行などから入金すれば0円にできます。
また、利回りや運用期間が決まっているため、運用に関する多くの知識を必要としません。
期間中の再投資も可能なので、分配金を再投資して投資額を増やして投資効率を上げることもできます。
ただし、投資金額が1000円に満たない場合は分配金が出ない可能性がありますのでその点は注意が必要です。
自分のリスク許容度や余裕資産の具合に応じて、少額から投資できるのはコストをかけたくない人にとってはメリットですね。
3.ほったらかし投資に向いている
Fundsは資金をファンドに対して「貸し付ける」サービスです。貸し付けたお金は、一定期間が経つとに利息がついて返ってきます。
株式投資と違ってファンドごとに予定利回りや運用期間の条件が定められ、ファンドに投資すれば運用期間中に値動きを見る必要がなく、終了するまでほったらかしにできるので、会社勤めで時間のない会社員の方や、家事などで忙しい主婦の方でも無理なく資産運用が行うことができます。
また、Fundsでは運用期間や利回りが最初から決まっているので、運用が終わったら投資した金額がどのくらい増えているのか、最初から見通すことが可能です。
予定利回りは約1.5%〜6%と安定しています。
4.「貸付ファンド」と「事業ファンド」
Fundsでは、資金調達をするためのファンドとして、「貸付ファンド」と「事業ファンド」の2種類の商品を扱っています。
・貸付ファンド
貸付ファンドは、出資金を貸し付けた金利分を受け取るものです。
決算期ごとのファンド報告書の提出が行われ、出資金がファンド組成企業に送信されるまでファンズ株式会社の銀行口座で分別管理されます。
しかし、ファンドの成績や内容をしっかり評価できる一方、ファンズ株式会社の経営に問題が生じた場合には、投資資金が返還されない可能性があります。
クーリングオフなどは利用できない為、その点は注意が必要です。
・事業ファンド
事業ファンドはある特定の事業に対して決まった期間中、資金を提供するものです。
投資申込後8日以内であればクーリングオフ制度の対象にもなっています。
貸付ファンドとは違い、分配が行われるごとに、分配に関する報告が行われます。さらにファンド組成企業に送金されるまで、投資した資金は一定期間後、信託銀行で信託設定(管理・運用)される点も異なります。
そのため、ファンズ株式会社が倒産した場合でも、信託銀行を通して資金は返金されます。
多くのソーシャルレンディングサービスでは、貸付ファンドと事業ファンドのどちらか一方しか提供されないこともありますが、Fundsでは投資資金の保管先に関するリスクやファンドから提供される情報を考慮したファンド選びが可能になります。
Funds(ファンズ)のデメリット4選
これまでメリットを挙げて来ましたがデメリットや注意点ももちろんあります。
しっかり確認して検討材料にしてください。
1. 募集がすぐ終了する
2022年に入ってFundsの案件数は徐々に増えているものの、応募者数の殺到によって募集がすぐ終了してしまうのもデメリットの1つです。
応募方法は前述のとおり「抽選方式」「先着方式」の2種類ですが、どちらも応募数が限られているため、早めに準備をしておかなければなりません。
2.案件の途中解約ができない
Fundsでは基本的に、一度案件に投資をした後は運用期間中の途中解約ができません。
一度投資してしまうと投資した資金を運用期間中に回収することはできないので、急に現金が必要になった場合などの対応は難しいです。
生活への支障が出ない範囲で無理のない運用をすることが大切です。
3.元本保証がない
Fundsでは独自のリスク管理の仕組みづくりを行っていますが、絶対に元本割れが起こらないわけではありません。
投資先の財務状態や市場環境、事業の成否によっては、貸し倒れによる元本割れが生じる可能性があります。
そのため、投資先のグループ企業の財務状況はしっかりと確認しておきましょう。
上場企業が対象になっているので、IR情報や決算情報を確認することで財務状況やグループ各社の経営状態を調べることができます。
Fundsでは投資した金額以上に損失を被ることはありませんが、分配がなかったり、投資した金額の一部が損なわれたりすることはあり得ます。
ファンドを選ぶ際は、投資金の損失を想定して金額を決定するようにしましょう。
4.平均利回りが3%と他社と比較してやや低い
先に述べたようにFundsは大手企業が借り手になります。
運営元であるFundsが審査をしていて一定の水準をクリアしていないとFundsでの資金調達ができないようになっていることもあり、Fundsで募集が開始される案件は他社と比べて高利回りのものは少ないという特徴があります。
Fundsの平均利回りは3%程度となっており、海外案件を扱うような他社と比べると低めに設定されています。
中には年間利回り6%の案件や、Fundsの投資家限定の優待キャンペーンが付加されているものもあります。
他のソーシャルレンディングと比べると利回りは低いですが、それは確実に利益を得ることができる案件のみに投資できるというメリットでもあります。
このことからFundsは手堅い投資や損失を被りたくない投資家向けのサービスとも言えます。
メリットとデメリットまとめ
メリット
- 1円から投資が可能
- ほったらかし投資に向いている
- 「貸付ファンド」と「事業ファンド」を取り扱っている
デメリット
- 募集がすぐ終了する
- 案件の途中解約ができない
- 元本保証がない
- 平均利回りが3%と他社と比較してやや低い
まとめ
Fundsは、貸付投資という新しいビジネスモデルで、個人の投資家が新たなプラットフォームを通して様々な企業に資金を貸し出しできる資金運用の選択肢を増やしたサービスと言えるのではないでしょうか。
他の海外案件を扱うようなソーシャルレンディングよりも利回りは低めですが、貸付先は基盤がしっかりした上場企業のみで、運用の手間も少ないのが特徴です。
また最低投資金額が1円からと低く、投資初心者の方も始めやすいサービスとなっています。
ただし、Fundsには元本割れのリスクや途中解約ができないといった注意点もあります。
実際にファンドを選ぶ際はこのようなデメリットなども把握した上で、慎重に検討しましょう。